PS5の「Tempest 3Dオーディオ」がドルビーアトモスに対応したことで、ホームシアターのスピーカーシステムで、より没入感のあるゲーム体験が可能になりました。Tempest 3Dオーディオは、PS5独自の技術で、専用に開発した「Tempest Engine」がプレイヤーを無数のスピーカーに囲まれた球体の中に配置することにより、没入感の高い3Dオーディオ空間を作りあげています。以前は、この3Dオーディオが体験できるのはヘッドホン限定でしたが、2023年のシステムアップデートにより、ドルビーアトモスに対応したサウンドバーやホームシアターシステムでもTempest 3Dオーディオが生み出す立体音響空間を再現できるようになりました。
3Dオーディオに対応したゲームをホームシアターでプレイする場合、以下のような体験が期待できます。
没入感の向上
- 音の立体感:3Dオーディオ(ドルビーアトモス)は、音源の位置や動きをより正確に再現し、まるで音が空間を飛び交っているかのような立体的な音場を作り出します。これにより、ゲームの世界に深く入り込み、臨場感あふれる体験ができます。
- 頭上音:天井スピーカーから音が聞こえることで、より自然な音の広がりを感じることができます。ヘリコプターが頭上を飛んだり、雨が降ったりする際の臨場感が格段にアップします。
- 方向性の明確化:音源の方向がより明確になり、敵の足音や銃声の方向を正確に把握できるため、ゲームプレイの戦略性も高まります。
具体的な体験例
- アクションゲーム:爆発音や銃声が四方八方から聞こえてくるため、自分がその場にいるようなスリリングな体験ができます。
- レースゲーム:エンジン音やタイヤのスキールなどが自分の周囲を立体的に包み込み、後ろから迫ってくる車の音など音源の方向を正確に把握することができることにより、まるで実車を運転しているかのような臨場感を楽しめます。
- RPG:広大なフィールドを探索する際に、風の音や鳥のさえずりのような自然の音に包み込まれて、ゲームの世界観に浸ることができます。
注意点
- ゲームの対応:すべてのゲームがドルビーアトモス(3Dオーディオ)に対応しているわけではありません。対応しているゲームかどうかを確認する必要があります。
- 機器の対応:ドルビーアトモスに対応したサウンドバーやホームシアターシステムが必要になります。
ドルビーアトモスに対応したサウンドバーやAVアンプを接続したら、PS5本体で音声の設定を変更する必要があります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
PS5のソフトをホームシアターの視点でレビュー

ここからは実際に筆者がPS5のソフトをホームシアターでプレイした感想を述べていきます。筆者の部屋は、一般的な6畳程度の部屋で、5.1.2chのドルビーアトモスに対応したホームシアターです。AVアンプは、ヤマハ RX-V6Aで、オーディオ類だけなら20万円以内で構築可能です。ゲームはもちろん、映画や音楽鑑賞も楽しめます。筆者のホームシアターシステムの詳細は、こちらの記事で紹介しています。
また、PS5で3Dオーディオを楽しむために最低限必要なスピーカーの構成は、こちらの記事で解説しています。
筆者が使用しているゲーム機本体は、PS5 Proですが、標準仕様のPS5でも同じようにTempest 3Dオーディオは楽しめます。Tempest 3Dオーディオに関して、PS5 Proとの違いはありません。
バイオハザード:RE4をホームシアターの視点でレビュー
バイオハザード:RE4(PS5版)の音声は、ドルビーアトモス(3Dオーディオ)に対応しています。
まず、タイトル画面でスタートボタンを押したときに出る「ジャーン」という効果音が、ホームシアターのスピーカーシステムで聞くととても壮大で、これから不気味な何かが始まる感じが伝わってきて毎回スタートボタンを押すだけでとてもテンションが上がります。
人の声や水の音など、音を発しているものの近くで視点カメラをぐるりと一周させると、スピーカーからスピーカーへと音の繋がりがとてもスムーズに行われ、自分が立体的な空間の中にいるのを感じることができ、PS5のTempest 3Dオーディオがドルビーアトモスのスピーカーシステムと見事に対応しているのが分かります。
複数の敵との戦闘では、自分の背後の気配を感じることができるので戦略的にも重要です。プレイに慣れてくると、音を頼りに立ち回る戦闘を無意識のうちにやっています。一人で敵150体を相手に戦うマーセナリーズというミニゲームがありますが、ホームシアターでのプレイには打って付けです。
天井を走り回っている敵と遭遇するシーンでは、上から襲われそうな恐怖感を天井付近に設置したハイトスピーカーが演出していて、思わず上を向きたくなるあたりは、ドルビーアトモスならではの体験です。
ビジュアルシーンは、映画さながらの迫力で、サブウーファーから地響きのような重低音が発せられます。ただ、この地響きのような重低音はビジュアルシーンのみで、プレイ中に感じることがありません。欲を言うならプレイ中も近距離で爆発などがあったときは、この地響きのような重低音を入れて欲しかったです。爆発音が控えめだと「テレビゲームをプレイしている感」が出てしまうのが残念です。
バイオシリーズでは珍しく銃声がとても良い音で、ハンドガンを撃っているだけでも気持ちいいです。その快感は、ハンドガンをフル改造して、ハンドガンメインでストーリーを進めたくなるほどです。ライフルもとても良い音がしますが、何故か威力が低いのもバイオシリーズのお約束です。折角、3Dオーディオでリアルさを追求するのであれば、ライフル系の威力が低いというテレビゲーム的な安っぽいバランス調整も、リアルさが損なって没入感が下がるので改善してもらいたいです。
バイオハザード:RE4の3Dオーディオは、総じてとても良くできた音響なので、ホームシアターでのプレイはとても楽しいです。どちらかというとアクションゲーム寄りで、ホラー要素は薄いので、ホラーゲームが苦手な人にもおすすめできます。ただし、本編とは別のエイダ編では、真っ暗になるシーンがあり、本作で唯一のホラー感が出ています。視界が奪われると音が頼りになるのでホームシアターでのプレイは臨場感抜群です。バイオハザード ヴィレッジにもあったこの真っ暗になる演出は、ホラー感が最高に楽しめるので今後のバイオ作品でも是非入れてもらいたいです。
バイオハザード:RE2をホームシアターの視点でレビュー
バイオハザード:RE2(PS5版)の音声は、ドルビーアトモス(3Dオーディオ)に対応しています。
筆者は、先にバイオハザード:RE4をホームシアターでプレイ済みだったので、バイオハザード:RE2も同じ雰囲気かと思ってプレイしたら全くの別世界であることに驚きました。バイオハザード:RE2の方が細かい音の情報が多く、周囲のスピーカーにより、常に色々な方向から物音が聞こえてきて、プレイヤーに不安を感じさせます。ゲーム内容的にもプレイヤーを脅かす仕掛けが多数用意してあり、まるでお化け屋敷を進んでいくような緊張感は、テレビゲームというより遊園地のアトラクションです。いつ襲われるか分からない恐怖心は、一瞬ゲームであることを忘れて自分がゲームの中に入り込んだかのように感じます。この一瞬でもゲームであることを忘れる感覚こそ筆者がホームシアターに求めていた没入感であり、バイオハザード:RE2の3Dオーディオはとても秀逸だと感じました。
追跡者が現れてからは、ドスンドスンという足音が周囲のスピーカーにより大体の位置を把握することができ、360度どこから近づいてくるか分かるという立体音響ならではの体験ができます。
ハンドガンを撃つと薬莢が床に落ちて跳ねる音が「どこに落ちたか」まで分かり3Dオーディオのリアルさを感じます。手榴弾の爆発音は、バイオハザード:RE4より大きくて迫力がありますが、銃声はやや控えめな感じがします。
バイオハザード:RE2の3Dオーディオはとても秀逸で、ホームシアターでプレイするとホラーゲームの真髄が味わえます。是非、静かな部屋で少し音量を上げて夜一人でプレイしてみてください。オリジナルのバイオハザード2をプレイしたことがあり、大まかなストーリー展開を知っている筆者でも恐怖を感じました。
バイオハザード:RE2(PS5)のパッケージ版が2024年12月26日に発売されました。PS5でリニューアルされたことにより、3Dオーディオ、レイトレーシング、ハイフレームレート、ロード時間の短縮などが進化しています。
バイオハザードRE:2は天井スピーカーの調整にいい場所がある

バイオハザードRE:2の本編を進めていくとケーブルカーがある場所があります。この場所の頭上で電線が火花を散らしてバチバチと音を立てています。この火花の真下は、ホームシアターのハイトスピーカー(天井スピーカー)の鳴り具合をチェックするのに最適です。敵も出ないのでセーブデータを一つ取っておくと、ハイトスピーカーの調整に使えて便利です。

筆者が使用しているAVアンプはヤマハ RX-V6Aで、各スピーカーの音量を±10dBまで調整することができます。
筆者のホームシアターでは、火花の音が頭上から聞こえる感じが弱いので、試しにハイトスピーカー(フロントプレゼンススピーカー)の音量を最大まで上げてみました。音量を上げてみて分かったことは、火花の音が頭上から聞こえるというより「前から聞こえる」感じが強いということです。やはりフロントハイトスピーカーの配置上このような聞こえ方になってしまうので、天井埋め込みタイプのようなスピーカーを、自身の真上に設置した方がドルビーアトモスには向いているかもしれません。
出典:ドルビー公式サイト
ちなみにドルビーの公式サイトによると、天井スピーカーが2つの場合は、視聴位置の頭上に設置することを推奨しています。やはり上から下に向かって音が発せられる方が自然に聞こえそうです。

そんな訳で、早速スピーカーを頭上に配置してみました。これで再びバイオハザードRE:2の火花の真下にキャラクターを移動させると、ちゃんと真上から火花の音が聞こえてくるのでとても自然です。また、序盤の警察署内で追跡者が上の階をドスンドスンと歩いていますが、ここでも上の階のどこを歩いているかが明確に伝わってきて、どの方向に逃げればいいか音で判断することができます。
天井スピーカーを2つしか設置できない場合、ゲームをやるならこの配置が最適だと思います。しかし、後で記事にしますが、この配置だと失うものが大きかったので一長一短といえます。


バイオハザード:RE3をホームシアターの視点でレビュー
バイオハザード:RE3(PS5版)の音声は、ドルビーアトモス(3Dオーディオ)に対応しています。
先にレビューしたバイオハザード:RE2と同様に本作の3Dオーディオの出来も秀逸で、ゲームの世界に入ったかのような没入感が得られます。
市街地の広い空間では恐怖感は薄いですが、遠くで銃声や警察のアナウンスが聞こえたりして、街中が非常事態である雰囲気が良く出ています。空の雷の音や、頭上で木が風で揺れて騒めく音が、天井スピーカーから聞こえて立体的な空間を演出しています。一方、室内に入ると急に静かになり、その分、周囲のスピーカーから時々聞こえてくる物音に緊張感を感じます。特に病院のシーンでは、静かな室内を物音に注意しながら一歩一歩進んで行くという不気味さが良い感じにホラー感を演出しています。
壁や天井を這うことができる虫のような敵が複数湧いてくるシーンでは、周囲のスピーカーの音が頼りで、音が聞こえたら逃げたり戦闘したり即座に対応することができます。
3Dオーディオの出来は素晴らしいですが、自分の銃声がショボいのが残念で、折角の没入感を台無しにしています。市街地のシーンでは遠くの銃声が聞こえたのに、自分の銃声が遠くの銃声より小さいという矛盾も生じます。一方、ドラム缶の爆発音は、バイオハザード:REシリーズで一番迫力のある音が出ます。
バイオハザード:RE3の3Dオーディオは秀逸でホームシアターでのプレイはとても楽しいです。バイオハザード:RE2と繋がっている部分があるのも楽しいポイントです。しかし、難易度がやや高く、序盤から追跡者に追い回されて、ゾンビがいる狭い道をジャスト回避を成功させて切り抜けなければならなかったりで結構大変です。アクションゲームが苦手なら難易度を下げることをおすすめします。筆者は標準的な難易度でプレイしましたが、特に終盤のボス戦では何度もゲームオーバーになってセーブポイントからやり直しました。流石に何度もやり直すと没入感が下がってしまいます。一度クリアすると、SHOPで新たな武器を入手できるので、それを用いて標準的な難易度でプレイするのがちょうど良さそうです。3Dオーディオの出来が素晴らしいと仮想空間に入ったような気分になれるので、何度も「体験」したくなります。しばらく時間が経って記憶が薄れた頃に、新しい武器を引っさげて2週目をプレイしたいと思います。
バイオハザード:RE3(PS5)のパッケージ版が2024年12月26日に発売されました。PS5でリニューアルされたことにより、3Dオーディオ、レイトレーシング、ハイフレームレート、ロード時間の短縮などが進化しています。
モンスターハンターワイルズをホームシアターの視点でレビュー
モンスターハンターワイルズ(PS5版)の音声は、ドルビーアトモス(3Dオーディオ)に対応しています。
セーブデータ連動で特典がもらえるということで、直前までモンスターハンターワールドアイスボーンをプレイしていました。モンハンワイルズを起動して最初の音が発せられた瞬間に3Dオーディオであることが一発で分かります。モンハンワールドアイスボーンの5.1ch音声とは音の包まれ感が全然違うのです。まだタイトル画面にも関わらず、既に立体的な空間の中にいるのを感じることができます。
ゲームをスタートしてビジュアルシーンでストーリーが進行しますが、ここでも映画さながらの迫力です。そんな大迫力のビジュアルシーンが終えると、プレイヤーを操作できるようになったので、先ずは武器選びからです。任意の武器を選んでトレーニングエリアで武器の感触を確かめるためにテストしてみました。武器を素振りしてみると空気を切り裂く音が複数のスピーカーを返して立体的に表現されていて、モンハンワールドアイスボーンより進化しています。次に狩りをするためにフィールドに出ると砂嵐に遭遇しました。ここでも砂嵐に包まれている感覚が周囲のスピーカーにより立体的に表現されています。そんな砂嵐の中でモンスターと戦闘すると、自然の驚異とモンスターとの戦闘音が入り混じって大迫力です。お約束の大型モンスターの咆哮は、サブウーファーから重低音が響き大地(床)を揺らします。
モンハンワイルズは、PS5になって音声がドルビーアトモスに対応したことにより、PS4のモンハンワールドアイスボーンの5.1ch音声と比べて立体感が格段に進化しているのを感じました。ゲームを起動して最初に発せられる音が包み込まれるような3Dオーディオで表現されていて、まるでゲームを始めた瞬間にモンハンの世界に入ったような気分にさせてくれます。秀逸な3Dオーディオのバイオハザードシリーズと同じカプコン製なので、安定の3Dオーディオで臨場感溢れる狩猟生活ができそうです。
各種ECサイトでパッケージ版を購入するとダウンロード版より安くてお買い得です。
PS5本体 モンスターハンターワイルズ同梱版(特別価格・数量限定)
原神をホームシアターの視点でレビュー
原神(PS5版)は、ハイトスピーカー(天井スピーカー)が鳴らないのでドルビーアトモス(3Dオーディオ)に対応していないと思われます。高さ方向の音響表現はありませんが、水平方向のサラウンドにはある程度対応しているので、ホームシアターでのプレイはそれなりに楽しめます。
原神は、ほぼフルボイスで街中で人が話しかけてきた際など、その方向にあるスピーカーから声が聞こえます。風車や滝の音なども、それらがある方向から音が聞こえてきます。港町での波の音やフィールドで雨が降ったときは、それらの音が周囲のスピーカーから包み込まれるように聞こえ、高さ方向の表現無しでも立体音響に似たような臨場感を感じることができます。
キャラクターを担当する声優さんの声は、大きめに設定されていて、セリフ担当のセンタースピーカーから明瞭に声が聞こえます。魅力的なキャラが多数登場する原神において、高性能なセンタースピーカーを使用するのが、プレイする上で最も楽しめる方法かもしれません。
敵との戦闘では、敵が発する音の情報が少ないので、バイオハザードのように音を頼りにした立ち回りはできません。複数の敵との戦闘では、視点カメラを回して後方に敵がいないか常に確認する必要があります。
原神の世界観が好きな人は、ホームシアターでプレイすると、まるでアニメの世界に入ったようなオープンワールドRPGならではの体験ができて更に楽しめると思います。 特にキャラが魅力的なゲームなので、セリフ担当のセンタースピーカーが大活躍します。原神を運営するHoYoverseは、「没入感ある仮想世界体験を提供することを目指している」ということなので、3Dオーディオへの対応も期待したいです。

原神のように3Dオーディオに対応していないゲームは、PS5本体の音声設定を「Dolby Atmos」にしても天井スピーカーが鳴りません。おすすめの設定として、「リニアPCM」等を選ぶとAVアンプが5.1chの出力を5.1.2chにアップミックスしてくれて、天井スピーカーも鳴らすことができます。この時の天井スピーカーは、控えめに鳴っていて自然な3Dサウンドにアップミックスされています。

PS5本体の音声設定を「リニアPCM」に選択すると、ヤマハのAVアンプの場合、シネマDSPの音場プログラムを変更できるようになります。この時、音場プログラムを「Mono Movie」などに設定すると、映画館のような残響音が付加されます。原神をプレイ中に秘境に入った時などにこの「Mono Movie」に変更すると、反響した音が秘境の雰囲気にぴったりで面白いです。
原神に登場する60種類の料理の作りかたをまとめたレシピブックが4月18日に発売
株式会社KADOKAWA Game Linkageは、「原神レシピブック テイワットグルメ紀行」を、2025年4月18日(金)に発売します。
- ゲーム序盤から順次登場する「モンド」「璃月」「稲妻」「スメール」の4地域を代表する60種類の料理の作りかたをレクチャー
- 掲載したレシピの料理はいずれも『原神』のゲーム内で実際に登場するものばかり
- 前菜からデザート、メインディッシュ、ドリンクまで、掲載レシピの種類はいろいろ
- 美しい写真とともに『原神』に登場する料理の作りかたをわかりやすく解説