PS5独自の立体音響を表現したオーディオ技術である「Tempest 3Dオーディオ」は、以前はヘッドホン限定の機能でしたが、2023年のシステムアップデートにより、ドルビーアトモスに対応したサウンドバーやAVアンプなどのスピーカーシステムでも鳴らせるようになりました。ヤマハのAVアンプ RX-V6Aは、ドルビーアトモスに対応したAVアンプの中では最安クラスなので、コスパ良く本格的なホームシアター環境を構築することができます。必要最低限の機能は全て揃っているので、適切に設定すれば、PS5の3Dオーディオで自分がゲームの世界に入ったような没入感が得られます。この仮想空間に入ったような体験を実現するには、スピーカーの設置方法がとても重要なので、最低限必要な機器と設置の上で重要な点などを解説していきます。
AVアンプとサウンドバーの違い
AVアンプとサウンドバーは、どちらもテレビの音質を向上させるための機器ですが、それぞれ異なる特徴と用途を持っています。
AVアンプとは
AVアンプは、複数のオーディオ・ビデオ機器を接続し、音声を増幅・処理してスピーカーに出力する機器です。ホームシアターシステムの中核を担い、映画や音楽を高音質で楽しむために使用されます。AVアンプと接続するスピーカーを別途用意する必要があります。
- 音声信号の増幅・処理:複数の音声信号を入力し、最適な音質に調整して出力します。
- サラウンド機能:複数のスピーカーを接続し、立体的な音場を再現します。
- 映像信号の処理:一部のモデルでは、映像信号の入力・出力やアップスケーリングなどの機能も搭載しています。
- 豊富な入出力端子:Blu-rayプレーヤー、ゲーム機、テレビなど様々な機器を接続できます。
サウンドバーとは
サウンドバーは、テレビの前に設置する細長いスピーカーです。テレビ内蔵スピーカーよりも高音質で、手軽に臨場感のあるサウンドを楽しめます。
- 音声信号の増幅・処理:テレビの音声信号を入力し、内蔵スピーカーから出力します。
- バーチャルサラウンド機能:一部のモデルでは、バーチャルサラウンド技術により、擬似的な立体音場を再現します。
- シンプルな接続:テレビとの接続はHDMIケーブル1本で済む場合が多く、設置が簡単です。
どちらを選ぶべきか
- 映画、音楽、ゲームを高音質で楽しみたい、本格的なホームシアターを構築したい場合は、AVアンプがおすすめです。
- 手軽にテレビの音質を向上させたい、設置の手間を省きたい場合は、サウンドバーがおすすめです。
最近では、AVアンプ並みの高音質を実現した高級サウンドバーも登場しています。サブウーファーやリアスピーカーを組み合わせることで、より本格的なサラウンドサウンドを楽しめます。しかし、サウンドバーの場合だと天井スピーカーがないのが大きな欠点です。サウンドバーの上方音場表現は、サウンドバー本体から上向きに出された音を天井反射させるものですが、これでは高い没入感は得られません。やはり上から聞こえる音をリアルに再現するには頭上にスピーカーを設置する以外に方法はなく、これができるのがAVアンプです。
「4K, 120Hz」などPS5に必要十分な機能を搭載したAVアンプ ヤマハ RX-V6A

ヤマハのAVアンプ RX-V6Aは、ドルビーアトモスに対応したエントリーモデルのAVアンプです。5.1chのスピーカーに天井スピーカーを2つ追加して5.1.2chのスピーカー配置が可能です。PS5との対応は、「4K, 120Hz」「VRR」「HDR」など必要な機能はひと通り揃っているので快適なプレイができます。価格は、各社のAVアンプと比べても最安クラスで、各種ECサイトで5万円を切っていることがほとんどです。さすがに10万円以上するAVアンプを「PS5の周辺機器」として購入するのは気が引けますが、ヤマハ RX-V6Aなら手の届きやすい価格設定も嬉しいポイントです。
もちろんゲーム以外にも映画や音楽も楽しめますが、楽器メーカーのヤマハらしく音楽鑑賞がとても楽しいのが特徴です。コンサートホールやライブハウスの音響を再現した「シネマDSP」でハイレゾ音源も再生できるAmazon Music Unlimitedを聴くと、実際にライブ会場にいるような臨場感が味わえて、ステレオアンプで聴く音楽鑑賞とは一味違った新しい音楽体験ができます。


PS5の3Dオーディオで最高の没入感を得るために絶対に外せないスピーカーは6個
PS5の3Dオーディオで自分がゲームの世界に入ったような没入感を得るには、次の6個のスピーカーが絶対に必要です。
- フロントスピーカー ×2個
- サラウンドスピーカー ×2個
- 天井スピーカー ×2個
これら6個のスピーカーがあれば、「前方」「後方」「上方」をカバーすることができるので、バランスのいい3D空間を形成することができます。
これ以外のスピーカーとしてサブウーファーやセンタースピーカーなどは予算に余裕があれば追加しましょう。次のステップアップとしては、サブウーファーがおすすめです。サブウーファーの低音が加わることで、映画館のような迫力になり雰囲気がガラッと変わります。

6個のスピーカーの設置イメージ
出典:ドルビー公式サイト
6個のスピーカーの設置イメージは上のイラストの通りで、前方、後方、上方にスピーカーを設置します。各スピーカーを設置する上での注意点を解説していきます。
フロントスピーカー
ゲームがメインであれば、フロントスピーカーは小型のものでも構いません。特に不足しがちな低音は、サブウーファーで補うことができます。しかし、「映画や音楽もマルチに楽しみたい」というのであれば、フロントスピーカーにできるだけ投資しましょう。ヤマハのAVアンプ RX-V6Aは、自動音響測定機能があるので、フロントスピーカー以外のスピーカーが小型になってしまっても音量バランスを調整してくれるので、スピーカーの大小をそれ程気にする必要はありません。

フロントスピーカーの設置は、耳の高さに合わせることが重要です。写真のようにテレビ台の上に置いてはいけません。

スピーカーを耳の高さに合わせると、空間の広がりがより感じ取れるようになります。試験的にダンボールの上に載せただけで見た目は悪いですが、たったこれだけのことで激変します。

ブックシェルフ型のスピーカーだとスピーカースタンドなどで高さを合わせる必要がありますが、トールボーイ型のスピーカーを選べば高さ調整の悩みから解放されます。

サラウンドスピーカー
出典:ドルビー公式サイト
サラウンドスピーカーの設置は、フロントスピーカーと同様に耳の高さに合わせます。設置場所は、自分よりやや後ろに置くのがベターです。
出典:ドルビー公式サイト
もし、壁を背にした視聴環境でサラウンドスピーカーを後ろに置けない場合は、自分の真横に置いても構いません。
天井スピーカー
天井スピーカーは、PS5の3Dオーディオで3D空間を形成するためにとても重要な役割を担っています。設置方法は色々ありますが、天井スピーカーが2個の場合の設置方法は、「オーバーヘッド(頭上)」一択です。

写真のように天井スピーカーを「フロントハイト」の位置に設置すると、上方の音が前から聞こえる感じが強いです。ゲームの場合は、プレイヤーを移動させることができるので、これではプレイヤーを音源の真下に移動させたときに、本来真上から聞こえるべき音が前から聞こえるので違和感を感じます。

一方、天井スピーカーをオーバーヘッド(頭上)に設置してゲーム内でプレイヤーを音源の真下に移動させると、ちゃんと頭上から音が聞こえるのでとても自然です。

スピーカーを天井に設置するのは難易度が高そうですが、穴あけなどの工事不要で簡単に設置できる方法をこちらの記事で解説しています↓

PS5の3Dオーディオをホームシアターで楽しむために最低限必要なもの一覧
PS5の3Dオーディオで没入感の高い3D空間を形成するには最低でも6個のスピーカーが必要ですが、ここではそれ以外に必要な機器もまとめました。
- PS5本体:PS5標準仕様およびPS5 Proどちらでも可。PS5本体はテレビではなくAVアンプのHDMI端子に接続する。
- ゲームソフト:3Dオーディオに対応したゲームソフトが必要。
- AVアンプ:ドルビーアトモスに対応した機器。
- フロントスピーカー ×2個
- サラウンドスピーカー ×2個
- 天井スピーカー ×2個
- 天井スピーカー設置用の器具
- スピーカーケーブル:スピーカーの数だけ必要。
- ARC/eARCに対応したテレビ:AVアンプと接続するためにテレビのHDMI端子がARCまたはeARCに対応していることが必須。
- HDMIケーブル:2.1規格に対応したHDMIケーブルが必要で、テレビのARC/eARCに対応したHDMI端子とAVアンプを接続する。
テレビとAVアンプを接続するためにHDMIケーブルが必要です。ヤマハのAVアンプ RX-V6AにはHDMIケーブルが付属しないので別途購入する必要があります。2.1規格のHDMIケーブルが必要で、間違ったケーブルだとドルビーアトモスの音声を出力できないので、迷ったらこちらの商品を購入してください。
オーディオ機器の設置が完了したら音声の設定を変更する
AVアンプやスピーカー等の準備が全て整ったら、音声の設定を変更しましょう。設定の変更をするのは次の3点です。
- PS5本体の音声設定をドルビーアトモスに変更する
- ゲームソフトの音声設定を「ホームシアター」「サラウンド」「3Dオーディオ」などに変更する
- テレビのスピーカー設定を外部スピーカーに変更する
設定変更の詳しい解説はこちらの記事でしています。

ドルビーアトモスに対応したホームシアターでPS5の3Dオーディオのソフトをプレイした感想
PS5の3Dオーディオに対応したホームシアターが完成したら、実際にゲームをプレイしてみましょう。今までやっていた「ただのテレビゲーム」とはひと味違う「仮想空間に入ったような体験」が可能になります。筆者は、大人になってから「ただのテレビゲーム」には飽きてしまいましたが、この仮想空間に入ったような新しいゲーム体験がとても新鮮で、大人がお金を払ってでもプレイしたいと思えるものです。「テレビゲームをプレイする」というより「仮想空間を体験する」という言い方がピッタリです。
そんな3Dオーディオが秀逸でおすすめのソフトとして是非プレイして欲しいのは、「バイオハザード:RE2」です。「バイオハザード:RE2」の3Dオーディオは高い完成度で、ゲームの世界に入ったようなリアルな体験ができます。プレイヤーを探し求めて上の階をドスンドスンと歩き回っているタイラントの足音が、頭上に設置したスピーカーから聞こえて臨場感抜群の3D空間が体験できます。詳しくはこちらの記事で解説しています。

PlayStation VR2とホームシアターの組み合わせで更なる没入感を追求
ドルビーアトモスに対応したホームシアターで3D空間の音声環境を作ったら、次は「PlayStation VR2」を導入して、映像面の立体化をしてみるのも面白そうです。「PlayStation VR2」は、立体的な映像だけでなく、モーションセンサーを内蔵した専用のコントローラーが手の動きに連動していて、「弓を引く」「銃を構える」など実際に自分が行動することにより高い没入感が得られます。ホームシアターのリアル3Dオーディオと「PlayStation VR2」の組み合わせで、音の定位感や移動感がより正確に再現され、まるでゲームの世界にいるかのような感覚が追求できるでしょう。
筆者が「PlayStation VR2」でプレイしてみたいのは、2024年12月に発売された「エイリアン:ローグインカージョン」です。映画「エイリアン2」でエイリアンシリーズの大ファンになった筆者としては、「PlayStation VR2」と「ホームシアターの3Dオーディオ」の組み合わせでエイリアンの世界に入ってみたいので、機会があれば「PlayStation VR2」も導入したいです。
「Alien: Rogue Incursion Evolved Edition」が10月1日に発売
「Alien: Rogue Incursion Evolved Edition」(PC/PS5)が2025年10月1日に発売されます。「Alien: Rogue Incursion Evolved Edition」は、上で紹介した「エイリアン:ローグインカージョン」を非VR版としてリニューアルしたものです。PS5で発売されるので、3Dオーディオに対応している思われるので、エイリアンの世界観が味わえる最高に楽しみな作品となりそうです。