PS5のグランツーリスモ7に「パワーパック」という有料のダウンロードコンテンツが2025年12月4日に追加されました。「パワーパック」は、“真のレース体験”に焦点を当てているのが特徴で、プラクティス・予選・決勝というフルセッションの流れで展開されます。ソロプレイ専用で、ライバルカーのAIには新開発のAIエージェント「グランツーリスモ・ソフィー3.0」が先行投入され、より自然でリアルなレース体験が可能であるとされています。
実車でサーキット走行を楽しむ筆者にとって、これまでのGT7のソロプレイにはある「違和感」がありました。しかし、今回追加されたDLC「パワーパック」は、その違和感を払拭し、サーキット走行が趣味でF1ファンの筆者が待ち望んでいた“真のレース体験”をもたらしてくれました。
「追いつき、追い越すだけの障害物競走」からの卒業
本作におけるパワーパック実装前のソロプレイでのレースは、メニューブックというクエストリストのようなものの中に組み込まれていて、クリアすることにより次のレースが解放されていきます。これらのレースではいつも最下位からのスタートで、ごぼう抜きをして3位以内を目指すというものです。下位を走っている車は無駄に遅いだけの障害物でしかなく、接触しないようなクリーンなレースをしていると1位の車に逃げられてしまいます。そして、最下位からスタートしたにもかかわらず1位の車に追いつくといことは、1位の車の性能はプレイヤーの車より劣っています。格下のマシンに勝つことは当たり前でしかなく、何も誇れるものはありません。モータースポーツは、イコールコンディションのマシンでドライバーの技量を競うものです。本作のソロプレイでのレースは、いかにもテレビゲーム的な「障害物競走」でしかありませんでしたが、今回実装された「パワーパック」で、よりモータースポーツらしい体験ができるようになりました。
リアルなレース体験を再現したパワーパック
パワーパックでのレースは、エントリーしたら「プラクティス」「予選」「決勝」という流れで進行します。これは、F1が開催されている週のウィークエンドを彷彿とさせます。金曜のフリー走行、土曜の予選、日曜の決勝というF1の流れを楽しんでいるファンにとって、パワーパックのこの構成は堪りません。
「プラクティス」は、60分の時間が与えられていて、この間にコースを覚えたり車の挙動に慣れたりできます。フリー走行中も本物のレースのように他車が走っていて、「○○がタイムを更新しました」のような情報が走行中にリアルタイムで確認でき、自分と他車のタイム(順位)を比較できます。安定したラップタイムを刻めるようになって十分に練習したと感じたら、時間をスキップして予選に進めることもできます。
「予選」は、10分程度の時間が与えられていて、この間にフリー走行で出せるようになったベストタイムを目指します。予選でも他車が走行しているので、戦略や駆け引き、プレッシャーなどの緊張感が味わえます。
「決勝」は、予選でのタイムが反映された順位からのスタートとなるので、メニューブックのレースのように無駄に遅い車をごぼう抜きするような必要はありません。自分の前後にいる車は、自分の実力に近いので、わずかなミスで順位が変動します。コースアウトのような大きなミスをしたら、プレイヤーは「そのまま続ける」か「リタイア」するかを選択するしかなく、メニューブックのレースのようにリスタートしてやり直すことはできません。やり直しが効かない一発勝負の決勝は、それまで退屈でしかなかったオフラインのソロプレイに、ドキドキした緊張感をもたらしました。
パワーパックのプレイ動画を解説
【0:40】スタートは、本作では珍しいスタンディングスタートです。スタート前にアクセルを踏んだらフライングになるのかと思い、完全なゼロ発進をしたら出遅れてしまいました。スタート前にアクセルを踏んで適切な回転数まで上げてスタートするのが正解です。
【2:15】前の車が1コーナーの進入でオーバーランしています。ホームストレートのトップスピードからのフルブレーキングで止まり切れなかったという「人間」のような挙動です。
【4:12】ここでも前の車が挙動を乱しています。背後につかれたことによるプレッシャーからミスを誘発したのだと思われます。このようにGTソフィー3.0のAIは、機械のような精密なドライブをするのではなく、時折「人間らしさ」がみられます。
まとめ:ソロプレイでは感じたことのない熱量
グランツーリスモ7の今までのオフラインによるソロプレイは、面白みがなく途中で飽きてしまい、オンラインレースをやるようになってからは、すっかりソロプレイをやらなくなってしまいました。しかし、今回実装されたパワーパックでの「真のレース体験」は、オンラインレースにも勝るとも劣らない、とてもエキサイティングなものでした。これは今までのソロプレイで感じたことのない熱量で、ソロプレイでも十分に楽しく、繰り返しプレイしたいと思えるものでした。オフラインのソロプレイを愛するプレイヤーはもちろん、これからオンラインレースに参加したいと考えているプレイヤーの練習の場としても最適です。

パワーパックをダウンロードするにはグランツーリスモ7の本編が必要です。
「GT7」×「ホームシアター」は車好きにとって中毒性が高い最高の組み合わせ
この「パワーパック」で味わえる究極のレース体験を完成させるのが、音響です。映像がリアルになったからこそ、音がステレオのままでは「脳が騙しきれない」のです。
グランツーリスモ7は、PS5独自の立体音響技術である「Tempest 3Dオーディオ」に対応しています。ドルビーアトモスに対応したサウンドバーやAVアンプを使用すれば3Dオーディオの音声を出力することができます。
出典:ドルビー公式サイト
5.1.2chのマルチチャンネルによるスピーカーシステムでプレイすると、プレイヤーを中心とした音の情報が周囲のスピーカーから聞こえ、まるで実車をドライブしているような体験ができます。フロントタイヤのスキール音はフロントスピーカーから聞こえ、同様にリアタイヤの音はリアスピーカーから聞こえます。背後に迫った車の気配は、バックミラーを見なくても、右後ろにいるか左後ろにいるかリアスピーカーの音で判断することができます。自分より速い車に左側から抜かされた場合は、左のリアスピーカーから左のフロントスピーカーへと排気音が移動していくといった具合に、ドルビーアトモスのオブジェクトオーディオを活かした体験が存分に味わえます。
そして、車好きとして外せないのがサブウーファーによる重低音の演出です。サブウーファーの重低音は、車のエンジン音や排気音といった低音部分をリアルに再現し、音量を上げてプレイすれば実車さながらの大迫力のサウンドを堪能することができます。これは車好きにとって最高の体験で、一度味わうと抜け出せないくらい病みつきになる中毒性を持っています。

前後にスピーカーを備えたホームシアターでプレイすれば、この最高のエンジン音や排気音が、車種によって異なるエンジン搭載位置によって、前から聞こえたり後ろから聞こえたりします。例えば、フロントエンジン搭載車であれば、エンジン音がフロントスピーカーから聞こえ、排気音がリアスピーカーから聞こえます。リアエンジン搭載車であれば、当然後ろからエンジン音が聞こえ、それがターボ車であるなら、タービン音も後ろから聞こえるといった具合に最高の没入感をもたらしてくれます。ハンドルコントローラーとバケットシートを組み合わせてコクピットを再現すれば、至高のドライビングシミュレーターとなるでしょう。

パワーパックの「1000馬力チューンドカーバトル」で参加車両として選べるガヤルド。ホームシアターならフルチューンされたランボルギーニの咆哮を背中で感じることができる。
もしあなたが、まだテレビのスピーカーでGT7をプレイしているなら、それは本作の魅力の半分も味わえていないかもしれません。以下の記事では、今回筆者が体感したような「音の移動」や「エンジンの重低音」を自宅で再現するための、初心者向けガイドをまとめています。GT7を“プレイ”するのではなく、サーキットに“没入”したい方はぜひチェックしてみてください。




