今回は、私のR33 GT-Rのエンジンのオーバーホールとタービン交換についてです。
スカイラインGT-RのエンジンであるRB26DETTは、レース運用で600馬力をターゲットに開発されたエンジンです。
これに対して市販車は、出力を280馬力に抑えて販売されていました。
これを知っているGT-Rオーナーは、「RB26の真の力を開放したい」と思うことでしょう。
それには、タービンを社外品に交換する必要があります。
ただ、すでに年式の古いGT-Rをいきなりパワーアップしても耐久性に不安を感じます。
そこで、エンジンをオーバーホールして下地を整えてからパワーアップすることによって、壊れるリスクを減らしてこの先も長く楽しめる車に仕上げることを目指します。
完成したエンジンは、ノーマルとは別物で”強暴”そのものです。
レーシングエンジンの片鱗を知ることができます。
レースで勝たせるために市販されたGT-R
R32 スカイラインGT-R 市販車(280馬力)
出典: NISSAN HERITAGE COLLECTION
スカイラインGT-R(R32)は、当時のレース(全日本ツーリングカー選手権)で勝利するために市販された車です。
グループAというカテゴリーで、連続する12か月間に2500台以上生産され、4座席以上の車両が公認の対象になります。
市販車では珍しい2.6リッターという中途半端な排気量は、4.5リッタークラスに参戦するためのものです。
ターボ車であるGT-Rは、NAエンジンに対するハンディとして、排気量にターボ係数1.7を掛けた値が適用されます。
そしてこのエンジンは、レースにおいて550馬力程度で運用されていました。
レースデビューから全日本ツーリングカー選手権が終了する4年間の間に29戦全勝という偉業を達成しました。
R32 スカイラインGT-R グループA仕様(550馬力)
出典: NISSAN HERITAGE COLLECTION
目指す仕様

私のGT-Rは、R33ですがエンジンはR32と同じRB26DETTです。
上記したグループA仕様に近いパワーを実現するために、タービンはギャレットのGT2860R-1(HKSのGT-SSクラスのタービン)をツインで装着します。
エンジンのオーバーホールと同時に行うので、ついでにカム、ピストン、クランクシャフト等もHKS製に交換して一気にフルチューン化します。
必要なパーツ
タービン等のパワーアップ系パーツ以外にも、純正品では容量不足になるパーツの交換等が必要になります。
私のGT-Rは、サーキットを走らないので冷却系やブレーキのチューニングは今回は見送ります。
以下は、今回必要だった大まかなパーツリストです。(既に交換してあるパーツも含まれます)
- ギャレット タービン
- マインズ VX-ROM書き換え
- HKS ブーストコントローラー
- HKS 排気量アップキット(ピストン、コンロッド、クランクシャフト等)
- HKS カムシャフト
- 東名 メタルヘッドガスケット
- 東名 強化タイミングベルト
- ブリッツ レーシングプラグ
- SARD 大容量フューエルポンプ
- NISMO フューエルプレッシャーレギュレーター
- NISMO エンジンマウント
- NISMO 強化クラッチ
- R35純正エアフロ
- R35純正インジェクター
- HKS マフラー
- HKS メタルキャタライザー
- マインズ フロントパイプ
- ハイグリップタイヤ
- その他 ホース類等 小パーツ約10万円分
エンジン製作

作業は、1000台以上のRB26を組んだという実績のあるマインズさんにお願いしました。
写真はR35のデモカーです。

出典: Mine’s
エンジンのオーバーホールは、精密オーバーホールリビルトエンジンというプランで実施しました。
上記パーツリストの排気量アップキット等のエンジンパーツは、このプランの中に含まれます。
強化クラッチやマフラーなどの吸排気系パーツなどエンジン以外のパーツは別途必要になります。

ブースト圧は3パターン登録されていて、ボタン1つで変更できます。
最大ブースト圧は、120kpa(1.22kgf/cm2)です。
レブリミットは8500回転です。

さらに追加でエンジンカバーの結晶塗装もしてもらいました。

これまではコンフォート寄りのタイヤを履いていましたが、タービン交換したタイミングでハイグリップタイヤに変えました。

インプレッション
まず、音に関してですが、ノーマルに比べてさらに1段階低音が増していて、アイドリングから既にチューニングカーであることがわかります。
走行時は、窓を全開にして乗ると、普通に流してるだけでも最高のRBサウンドが堪能できます。
タービンは、ノーマルよりワンサイズ大きくなっていますが、発進時や低速域のもたつきを感じることなく普通に街乗りできます。
アクセルを踏み込むと、強烈な加速に緊張感が走ります。
3速が2速のようにあっという間に吹けきってしまいます。
ブースト圧が変更できるので、80kpaに抑えて踏んでみましたが、それでもノーマルより遥かにパワーが出ています。
ノーマルタービンの時が「気持ちいい加速」であったのに対し、タービン交換した後は「強引な加速」といった感じです。
私のGT-Rは、街乗り仕様なのでこのパワーのお世話になることはほとんどありませんが、グループA仕様エンジンの片鱗に触れることができたので大満足です。
↑ 80kpa、アクセル開度80%くらい。※音量にご注意ください。
タービン交換したら良い音が出過ぎてしまったので、「静粛性×ハイパワー」がコンセプトのマフラーに交換してみました↓
